ボルボ、新型XC90による実車テストを公開 道路逸脱事故に対応する世界初のソリューションの有効性を確認
2014.12.05 | 企業情報

ボルボはスウェーデンのボルボ・セーフティ・センターにおいて、新型XC90に標準装備される「ランオフ・ロード・プロテクション」(道路逸脱事故発生時における乗員保護)が作動する様子を公開しました。ボルボは「2020年までに新しいボルボ車において交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という安全目標「ビジョン2020」に取り組んでおり、道路逸脱事故への対応により、目標の達成にさらに一歩近づきます。

「私たちは乗員をしっかりと定位置に保つことと、衝撃エネルギー吸収機能をシートに導入することに焦点を絞り、開発を続けてきました。これらの機能により、道路逸脱事故で頻繁に起こる、深刻な脊椎損傷のリスクを低減させることができます」とボルボ・セーフティ・センターでシニア・テクニカル・スペシャリストを務めるロッタ・ヤコブソンは話します。

ドライバーの不注意や疲労、悪天候等の様々な要因により、道路逸脱事故は多く発生しています。例えばアメリカでの交通事故死の半数は道路逸脱事故によるものです。スウェーデンでの乗用車の交通事故では、重傷もしくは死亡事故の3分の1が、単独での道路逸脱事故に起因しています。道路逸脱事故は、乗員の体がランダムな方向へ動くきわめて複雑な事故で、乗員の体を固定することが大変重要です。

道路逸脱への対応は、現時点では安全評価テストの対象外
現時点では、道路逸脱への対応を評価する基準や試験は、存在しません。「安全への取り組みは、評価試験をパスすることや、評価テストで高い点数を得ることが目標ではありません。実際の事故や負傷が発生する原因と経緯を知り、それを防ぐ技術を開発することこそが大切なのです。私たちが掲げるビジョン2020の実現に向け、実際に発生している、あらゆる種類の事故に注目していく必要があります」とロッタ・ヤコブソンは述べています。

道路逸脱事故では脊椎損傷が多発
自動車事故で発生する傷害の内容は長い年月を経て変化してきています。車体構造の改良が繰り返され、さまざまな安全システムが導入された結果、クルマの安全性はここ数十年で大幅に向上しました。ボルボの新車で死亡や重症を負うリスクは、1970年代との比較で3分の1以下に減少しています。一方で、胸椎や腰椎を損傷する頻度はそれほど低下しておらず、道路逸脱事故や多重衝突事故では、これら重度の傷害の割合が増加しています。

「ボルボが独自に集めた広範な事故データから、脊椎に圧力が伝わる際の乗員の姿勢が重要であり、このときの体の大きな屈曲も、大きく影響を及ぼすことが分かりました。道路逸脱事故では、軸方向の荷重と屈曲が組み合わさって起こる脊柱の前部楔状骨折が、圧迫骨折とともに、脊椎損傷で最も多いケースとなっています」とロッタ・ヤコブソンは述べています。

シートベルトによる固定と、衝撃の緩和
新型XC90のランオフ・ロード・プロテクションは、シートベルトによる固定と、衝撃の緩和の2つの機能により、乗員の体を正しい姿勢に保ちながら衝撃をやわらげることで、体に加わる縦方向の力を最大で3分の1まで弱めます。これにより、深刻な脊椎損傷のリスクを低下させることが可能となります。

衝撃の緩和
脊椎損傷を防ぐため、シートとシートフレームの間に、クッションの役割を果たすエネルギー吸収機能を持たせ、クルマが地面に叩きつけられた際に生まれる縦方向の力を減少させます。

3パターンのクラッシュテストを開発
ボルボは、実際のデータに基づく様々な道路逸脱事故を研究するため、「空中」、「側溝」、「非舗装地面」の3つの走路パターンの衝突テスト方法を開発しました。

空中テストでは、80km/hの速度で、車両を走行車線から逸脱させます。車体は空中へと飛び上がった後、平らな地面に着地し、引き続き走行を続けます。空中に飛び上がった際の高さは80cmに達し、その後、車輪は激しい衝撃を受け、戦闘機のパイロットが緊急脱出シートを使用するのと同レベルの力が発生します。

側溝テストは、80cmの深い溝に突っ込んだ後、車体が弾み、溝の側面に激突、車体に大きな縦方向の力が加わる状況を再現できます。非舗装地面テストは、でこぼこの地面に飛び出し、縦方向や垂直方向に大きな力車体に加わると同時に、横方向にも大きな揺れが生じる状況を作り出します。

これらの衝突試験では、乗員に擬した最新のダミー人形を使います。北欧神話の雷神にちなんで「トール」と名付けられた最新のダミー人形は肩の可動域が広く、道路逸脱時の人体の動きを、より忠実にシミュレートできます。

ユニークな試験装置ロボットの開発
ボルボはクラッシュテスト開発のほか、産業用ロボットをベースに、車両のシートと乗員拘束装置を取り付けた試験装置ロボットを開発しました。ダミー人形とともに使用するこのロボットは、3パターンのクラッシュテストでの乗員の動きのほか、様々なバリエーションの道路逸脱事故もシミュレート可能です。

道路逸脱事故を起こさないためのドライバー補助
ボルボは、ドライバーが道路逸脱事故を起こさないように補助する技術の開発も注力しています。新型XC90に搭載される2つのシステム「レーン・キーピング・エイド」と「ドライバー・アラート・コントロール」は、まさにそこに狙いを絞った技術であると、ロッタ・ヤコブソンは述べています。

レーン・キーピング・エイドは、クルマが不意に車線を逸脱しそうになった場合、車線内に留まるよう、ステアリングを操作し、進路を修正します。ドライバー・アラート・コントロールは、ドライバーの疲労や不注意を感知すると警告を発します。新型XC90は、ドライバーに最寄りのサービスエリアで休憩を取るように案内する、新しいレスト・ストップ・ガイダンスも装備しています。


新型ボルボXC90の日本市場導入時期は未定です。

以下のURLから本プレスリリースに関連したショートムービーをご覧いただけます。

■ランオフ・ロード・プロテクション 説明ムービー
https://www.youtube.com/watch?v=wUEBTf6Z_uo
■Volvo XC90 クラッシュテスト
https://www.youtube.com/watch?v=AxZcVkNP9QM
■Volvo XC90 エネルギー吸収機能
https://www.youtube.com/watch?v=s_gqfFQKM9g