トークイベント「ボルボが考える自動車の安全とは」

2024/11/16にボルボの”Safety”をテーマとしたトークイベント「ボルボの考える自動車の安全とは」を開催しました。 ゲストにカーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子氏をお招きし、ボルボ・カー・ジャパンのプロダクト・マネージャー畑山真一郎ともに、ボルボの掲げる安全性について熱いディスカッションを繰り広げました。 具体的な安全性能の紹介から安全検証の裏話まで、濃密な2時間のセッションを3本のイベントレポートにてお伝えいたします。 レポート第1弾のテーマは、「ボルボの企業理念とボルボが考える安全とは」。

ボルボの企業理念とボルボが考える安全とは

ボルボの企業理念

冒頭では、ボルボの企業理念を他の自動車メーカーと比較しながらご紹介。他社はドライブの楽しさや、スピードといったクルマ自体の性能をアピールするものが多いのに対し、ボルボは「クルマは人によって運転され、使用される。従って、ボルボの設計の基本は常に安全でなければならない」という企業理念を創業当時から掲げていて、クルマ自体ではなく車に乗っている「人」を中心とした考え方であると述べました。

今に繋がるブランドパーパス

現在では「For Life. To give people freedom to move, in a personal, sustainable and safe way.」というブランドパーパスでその理念は受け継がれ、「Personal・人を中心」に「Sustainable・持続可能」で「Safe・安全」な「freedom to move・移動の自由」を提供することを目標としていると解説していました。

時代を先取りする取り組み

畑山から、このような安全性を主体とした考え方は当時としても珍しかったと説明を受けたまるも氏は、「裏を返せば、車って危険だ、と正直に言っているようなものですよね?」とそのオープンな姿勢に驚きつつも、「車が環境に与える影響をデータ化して公表したのもボルボ社が初めて」というエピソードも交え、ボルボ社の時代を先取りする取り組みに触れていました。

まるも亜希子氏

人を本気で育てる

つまり、人を中心とする考え方は、ボルボが始めたことでも、ましてや最近の流行りなどでもなく、人こそが財産であり、人を本気で育てるというスウェーデンの考え方に基づいたものだと。それを聞いたまるも氏も、以前ご自身がスウェーデンの小学校を見学したときの経験を話してくださいました。教室に入ると、4歳ほどの子どもがカッターやナイフなどの刃物を普通に扱っていることに驚いたそうです。

スウェーデンの小学校では

スウェーデンの小学校では、日本では所持が禁止されるような刃物の使用を子どもたちに許可していて、まるも氏が「子どもに刃物を持たせるのは危険では?」と現地の人に聞くと、「危ないからこそ幼い頃から触れさせて危険性を理解させる」という返答が返ってきたそうです。幼い頃から命に対する責任を学ばせていることに感心し、このような些細な所にも人が財産であるという考え方を感じたと仰っていました。

ボルボ・カー・ジャパンのプロダクト・マネージャー畑山真一郎

Vision 2020

続いて、テーマは「Vision 2020」へ。畑山は、ボルボが掲げていた「2020年までに新しいボルボ車が関わる事故による死者・重傷者をゼロにする」という野心的な目標を紹介します。実際に2020年内には達成できなかったのですが、更なる先進安全機能の開発とともに、安全研究データの公開や、180km/hリミッターの導入、酩酊を検知するドライバーモニタリングシステムの導入などを発表しました。

事故調査隊

ボルボは1970年に事故調査隊を発足し、稼働は24時間365日、警察とも連携しながら延べ50000件以上の事故データから、事故を再現し、どういった状況でどのような事故が発生し、何故人に損害が及んだのか、という情報を分析し、データを精査し、次の開発に生かす、という改善ループを継続しているのです。

安全性の本質とは

多くの場合、企業は「商品を売りたいため」に安全性をアピールしますが、それは安全性の本質ではなく、「なぜこのような事故が起こってしまったのか」という疑問を、日々のデータ収集や緻密な検証から徹底的に調べ上げて対策に繋げることこそ、安全性の本質だとまるも氏は仰っていました。

ボルボ社が考える安全

ボルボ社が考える安全

今回のレポートでは、ボルボが掲げる企業理念と、ボルボが考える安全についてのお話をお伝えしました。ボルボは、何よりも人命を最優先にし、その理念を徹底するために様々な取り組みを行っているという話には、会場のみなさまも興味を引かれた様子でした。次回のレポートでは、ボルボが提供してきた具体的な安全性能の紹介と、安全検証にともなう裏話を中心にお届けいたします。