”Safety”を実現する未来へ向けて
2024/11/16にボルボの”Safety”をテーマとしたトークイベント「ボルボの考える自動車の安全とは」のレポート第3弾は、「自動車の安全を実現するために進むべき未来」について。 カーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子氏をお招きし、ボルボ・カー・ジャパンのプロダクト・マネージャーである畑山真一郎とともに、ボルボが行う未来のための取り組みと、お二人の考える”Safety”について語り合いました。

Vision 2020の後日談
「2020年までに新しいボルボ車が関わる事故による死者・重傷者をゼロにする」という目標は、結論として達成には至らなかったものの、即座に新たな施策の実行に移ったと畑山は説明します。これまでに何が実現できて、何が実現できなかったのか、ということを明確に説明し、未来に向けて解決すべき課題を明確にするというボルボらしいオープンな姿勢に、まるも氏も驚きの様子でした。
独自データの共有
ボルボは、自社が持つ安全に関する独自データを他の自動車メーカーにも共有しています。実は、安全検証に使用するダミー人形は、通常、成人男性を前提としたものが一般的なのですが、実際の人間は年齢や性別によって骨格や関節の強さが大きく異なります。ボルボでは女性や子ども、妊婦の骨格や体形などを正確に再現したダミー人形を開発し、検証を行っており、そのデータを他社とも共有することで、自動車全体の死亡者や重傷者低減に繋がると考えています。
事故を防止するアプローチ
他にも、運転手の居眠りや注力の低下を検知して警告するドライバーモニタリングカメラや、自動車の最高速度に制限をかけることができるケアキーというアイテムを開発。ケアキーは、例えば免許を取ったばかりの人が運転する場合に使用することで、事故の被害が拡大する要因のひとつであるスピードの制限に有効です。ボルボはリアルワールドで発生する事故や収集した情報を改善に生かし、自動車事故による被害の減少に努めて続けていると畑山は説明しました。

子どもの危機に反応して
畑山は、車内のモニタリングは、運転時の機能だけではないと説明します。近年問題となっている、車内に子どもを置き去りにしてしまい、熱中症などで子どもが死亡してしまうという痛ましい事故を防ぐため、そもそも置き去りを防ぐべく、車両やアプリ経由で警告を促すなど状況に応じて対処をとってくれるような機能も開発されており、将来導入される予定となっています。

自動運転の実用化
自動車事故の原因の90%以上は人間の不注意によるものとデータが示しており、データの上では、将来的には自動運転に任せた方が安全だとは言えるもののお二人は自動運転の実用化のためには、自動運転の技術開発だけでは不十分であると言います。
社会が訴えかける
たとえば自動運転を安全に実用化するためには、道路上に自動運転車の専用レーンをつくるなど、行政と一体となった取り組みが不可欠だとお二人は述べます。そのためには、自動車メーカーだけでなく、道路行政との連携も不可欠になります。加えて、国を動かすために、社会、即ち私たちがそれを求めることで、自動運転の実現は叶うのだとまるも氏は会場に訴えかけました。

ボルボが考える自動車の安全
自動車の安全は、車内の人を守る安全から、車外の道路利用者への安全へと拡大し、さらには、自動車という存在が、我々人間が暮らす、地球環境にとって安全なのか、という更に広い視点での新たなる安全性、「環境への配慮」という領域にまで広がっている、というボルボの考え方を畑山は示しました。 どのようにして環境負荷を減らしながら、人々に安全で自由に移動できるモビリティを提供し続けることができるのか、といったことが焦点となると言います。
ラグジュアリーカーに求められるもの
まるも氏は、昨今はラグジュアリーという概念に求めるものが変わってきていると述べます。以前はラグジュアリーといえば、「煌びやかで贅沢なもの」と捉えられてきましたが、今では「環境保全に努めていること」もラグジュアリーの一つの価値と認識され始めていると。高級車を生産する自動車メーカーは環境保全という責任も果たさないと、ラグジュアリーカーとして認めてもらえなくなる時代が来るだろうと仰っていました。

自動車の安全について考える ”Safety”
本イベントでは、まるも氏と畑山の専門的な内容を中心としたお話に、終始会場は興味津々といった様子で、質疑応答の時間でも、エアバッグの技術やEV化への質問が飛び交い、最後まで大変充実したディスカッションとなりました。Volvo Studio Tokyoでは、今後も様々なイベントの開催を予定しています。ぜひ、会場にお越しいただき、ボルボのEVをご体験いただければと思います。