「デザイン」から見るスウェーデンの暮らし
川上さん親子が語るスウェーデンのデザインと文化
12/21にトークイベント『デザイナー 川上玲子と俳優 川上麻衣子が語るスウェーデンの豊かな暮らし』を開催。 Volvo発祥の地であるスウェーデンの暮らしを、デザインという視点を中心に語っていただきました。 レポートの第1弾では、現地に在住経験のあるお二人から見た、スウェーデンのライフスタイルとデザインの関わりについてお伝えいたします。

川上麻衣子さん親子について
俳優の麻衣子さんはスウェーデンで生まれ、日本とスウェーデンの双方で幼少期を過ごされました。 俳優業の傍ら、仔猫と飼い主の出会いを繋ぐ「猫譲渡会」を実施するなど、マルチな活動で活躍されています。 玲子さんは、スウェーデンの大学で本場の北欧デザインを学んだテキスタイル&インテリアデザイナーです。 トークセッションでは、プロのデザイナーの目線から、たくさんの興味深いお話をしていただきました。
自然を取り入れたデザイン
「スウェーデンのデザインは、まず自然を参考にする」と玲子さんは言います。 冬に大雪が降るスウェーデンでは、美しい雪のようなホワイトカラーを好む人が多く、家具販売店では部屋の壁に塗る白いペンキが大量に陳列され、建物の外装も雪の色に映えるカラーにする人が多いそう。 自然とのコントラストを楽しむのがスウェーデンのデザインだと説明します。
スウェーデン人の考えるデザインとは
玲子さんは、スウェーデンの著名な教育学者であるエレン・ケイの言葉を紹介し、「人間は美しいものに囲まれて生活する権利がある」という考え方のもと、デザインは飾るものではなく、日常の生活の中で使いやすいもの、あるいは心を癒すものだと述べ、これがスウェーデン人の暮らしと教育の根本的な考え方であると仰っていました。

インテリアを楽しむ
スウェーデンのホームパーティーに呼ばれると、日本の文化との違いを感じると麻衣子さんは言います。 スウェーデンでは、食事の際に布製のテーブルクロスを必ず使用し、季節や気分で使い分けるそうです。 また、スウェーデン人は部屋の照明としてキャンドルを使用することをとても好んでおり、昼間の自然光で部屋がどれだけ明るくてもキャンドルの火を焚いて、インテリアのひとつとして照明を楽しむとのこと。
素材に傷がつくのも味
ちなみに、日本では「汚れるのが嫌だから」とテーブルクロスの上にビニールを重ねることも多いですが、スウェーデン人からするとこれは不思議に見えるそうです。 「素材に傷が付くのはもったいない」と感じる日本人とは対照的に、彼らは「素材に傷が付くのも味だ」と捉えて、家具や雑貨のデザインを暮らしの中で楽しむのだと言います。

まるで美術館のような地下鉄
続いて、話題は「スウェーデンの街並み」へ。 スウェーデンの地下鉄の駅には壁面アートやオブジェが並び、まるで美術館のような景色が広がっていると言います。 玲子さんによると、日本が新しい駅をつくる時はスウェーデンの地下鉄駅を見学・参考にするそうです。 麻衣子さんは、「雨が降って外での観光に困ったら地下鉄で過ごすだけで楽しい」と、そのアートの見応えに感嘆していました。
バリアフリーを実現するデザイン
街を歩くだけでもデザインの文化を感じられるスウェーデン。 スウェーデンの街中には、通りの景観に溶け込むようなカラフルなデザインのベンチが多いとのこと。 歩き疲れたときに腰掛けるようなベンチやイスが多く設置され、高齢者でもひとりで散歩を楽しめるようバリアフリーへの配慮を実感することができると麻衣子さんは仰っていました。

デザインは暮らしの中に
「国民全員がインテリアコーディネーター」と言われるスウェーデンでは、デザインの工夫が生活の至るところに溶け込んでいます。 スーパーに陳列されている商品のパッケージや、住宅街の街並みを見ているだけでも、スウェーデンのデザインを充分に楽しむことができると麻衣子さんは言います。
Volvoとデザインの関わり
次回のレポートでは、川上さん親子にご紹介いただいたスウェーデンのデザイン文化を踏まえて、Volvoが実現するスカンジナビアンデザインのお話を中心にお届けいたします。