フットブレーキシステム
車両には、2つのブレーキ回路があります。一方のブレーキ回路が損傷すると、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなります。したがって、通常の制動効果を得るには、通常よりもペダルを強く踏み込むことが必要になります。
注意
起伏の激しい地域や、重い荷物を積載して走行するときは、ギヤ位置Bでエンジンブレーキを使用すると、ブレーキへの負担を軽減することができます。
急勾配の下り坂を低速で走行しているときには、Off Roadドライブモードを使用して、エンジンブレーキを強めてください。
アンチロックブレーキシステム
車両にはアンチロックブレーキ Anti-lock Braking System(ABS)が装備されています。アンチロックブレーキは、制動中にホイールのロックを防止して、ステアリングの制御を維持できるようにします。ABSが作動すると、ブレーキペダルに振動が感じられる場合がありますが、これは異常ではありません。
エンジン始動後、ブレーキペダルから足を離したときに、ABS システムの自己診断機能が短時間作動します。低速走行時に、さらにシステムの自動テストが行われることがあります。テストが行われているときは、ブレーキペダルで振動が感じられることがあります。
軽い制動操作によるハイブリッドバッテリーの充電
軽い制動操作では電動モーターのエンジンブレーキが使用されます。車両の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されて、ハイブリッドバッテリーの充電に使用されます。電動モーターのブレーキによるバッテリーの充電は、ドライバーディスプレイに表示されます。「ドライバーディスプレイに表示されるハイブリッドに関する情報」の項を参照してください。
この機能は速度範囲が150-5 km/h (93-3 mph)のときに作動します。強めにブレーキをかけたときや対象の速度範囲から外れているときには、油圧式ブレーキシステムによって制動力が補われます。

濡れた路面でのブレーキ操作
大雨の中、ブレーキをかけずに長時間走行していると、最初にブレーキをかけたときに、ブレーキの効きが少し遅れる可能性があります。この症状は、洗車機で洗車した後にも発生することがあります。この場合、ブレーキペダルを通常よりも強めに踏む必要があります。したがって、前方の車両との車間距離を長めに維持する必要があります。
濡れた路面を走行した後、または洗車機を使用した後には、車両に確実にブレーキをかけてください。これによりブレーキディスクの温度が上がるため、ブレーキディスクの乾燥時間が短くなり、腐食から保護できます。ブレーキをかけるときには、周辺の交通状況にご注意してください。
凍結防止剤が散布された路面でのブレーキ操作
凍結防止剤が散布された路面を走行しているときには、ブレーキディスクおよびブレーキライニングに塩の層が形成されることがあります。この層が形成されると、制動距離が延びる可能性があります。したがって、前方の車両との間に十分な安全距離を確保する必要があります。また、以下の点にもご注意が必要です。
- ときどきブレーキをかけて、塩の層を取り除いてください。ブレーキをかけるときには、他の道路使用者を危険にさらすことのないようにご注意してください。
- 走行を終えた後、および次回の走行を開始する前に、ブレーキペダルを慎重に踏んでください。
メンテナンス
車両の信頼性と安全性を可能な限り確保するため、メンテナンスノート(整備手帳)に記載されているボルボのメンテナンスサービス間隔に従って点検整備を実施してください。
交換したばかりの新品のブレーキライニングおよびブレーキディスクは、数百キロメートル走行して部品が馴染むまでは本来の制動効果を発揮しません。制動効果の不足分を補うために、ブレーキペダルを通常よりも強めに踏み込んでください。ボルボ承認のブレーキライニングのみを使用することをお薦めします。
重要
ブレーキシステム構成部品の摩耗状況を定期的に点検してください。
手順に関する情報をサービス工場にお問い合わせいただくか、サービス工場に点検を依頼してください。ボルボ指定のサービス工場をお薦めします。
ドライバーディスプレイのシンボル
シンボル | 意味 |
---|---|
![]() | ブレーキフルードレベルを点検してください。ブレーキフルードレベルが低いときは補充し、ブレーキフルードが減った原因を確認してください。 |
![]() | ペダルセンサーに不具合があります。 |
![]() | エンジン始動時に2秒間点灯:自動機能点検です。 2秒を超える点灯:ABSシステムに不具合があります。通常のブレーキシステムは正常に機能していますが、ABS機能は使用できません。 |
![]() | ブレーキペダル特性が変化した。販売店 にお問い合わせ下さい というメッセージが表示された場合、Brake-by-Wire のシステムが正常に作動しません。ブレーキペダルの踏みしろが深くなるため、制動効果を得るには、通常よりも強い力で踏み込む必要があります。 |
注意
ブレーキ不具合とABS不具合の警告灯が両方同時に点灯した場合、ブレーキシステムに不具合が発生したことを表しています。
- リザーバータンクのブレーキフルードレベルがこの時点で正常であれば、最寄りのボルボ指定のサービス工場まで慎重に走行し、ブレーキ系統の点検を受けてください。
- ブレーキフルードレベルがリザーバータンクのMINマークより低い場合は、ブレーキフルードを補充するまで絶対に運転しないでください。ブレーキフルードが減った原因を点検してください。